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メソポタミア

博物館で楔形文字の粘土板を前にすると、欠けた破片のあいだから失われた文学をつなぎ直して読んでいる感覚に包まれます。ギルガメシュ叙事詩は、そうした断片の集積から見えてくる現存する最古級の叙事詩であり、ウルクの王ギルガメシュが友情、死別、不死への探求を経て、人間の限界を知るまでを描いた作品です。

古代ギリシャ

アテナイのアゴラで市民が声を張り上げ、広場が政治の熱気で満ちる光景と、スパルタが根を下ろしたラコニアの平原で、市民が共同食事と訓練のために集まる場面を思い浮かべると、両者の違いは理念の好みではなく、暮らしの骨組みそのものから生まれたのだと実感できます。

古代ローマ

観客席の上段から楕円のアリーナを見下ろすと、約5万人級の人波を受け止めた建物の呼吸がまだ残っているように感じます。足もとの床下に目を落とすと、格子の向こうに暗い地下空間がのぞき、そこから獣や舞台装置がせり上がってきた光景まで想像できました。

古代ローマ

ローマ中心部のラルゴ・ディ・トッレ・アルジェンティーナの遺構に立つと、カエサル暗殺は神話の舞台ではなく、都市の日常のすぐ隣で起きた政治事件だったと腑に落ちます。よく知られた「ブルータス、お前もか」はシェイクスピアによって広まった台詞で、古代史料だけでは断定できません。

東洋文明

始皇帝は、暴君か英雄かという二択で語ると輪郭がぼやけます。中国統一を成し遂げた人物であると同時に、郡県制や文字・貨幣・度量衡の標準化で「広すぎる国をどう動かすか」に答えを出し、その延長線上に陵墓、兵馬俑、不老不死への執着、そして急速な崩壊までがつながっています。

古代ギリシャ

ピュニクスの丘に市民が集まり、前方の演壇から将軍が戦争方針を語りかけ、広場では挙手の動きに視線が集まる。係員が六〇〇〇人の定足数を確かめるあの緊張感を思い浮かべると、アテネ民主政が「民がその場で決める政治」だったことがよく見えてきます。